小沢剛
不完全−パラレルな美術史


現代アーティスト小沢剛(1965-)は、自らの周りや美術の歴史などから様々な事象を拾い上げ、笑いを誘うユーモアと鋭い分析的視点を備えた作品に仕立てあげてきました。本展では、新作インスタレーションを筆頭に、小沢が日本美術史からテーマを得て制作した作品を中心に展示します。
 
明治維新以降、西洋から様々な美術技法や制度が輸入されてきましたが、それらは日本の実情にあわせてかたちを変え、ときとして奇妙な姿へと変貌することもありました。今回、新作インスタレーションのテーマとして選ばれた「石膏像/石膏デッサン」も、そのような事例のひとつです。アカデミズム期のヨーロッパで生み出されたこの教育法は、明治初頭に日本に移入されたのち、近代絵画の時代に独自の発展をとげました。本家のヨーロッパでは早々に廃れてしまいましたが、わが国では戦後、美大の入試科目として重要な役割を果たし、芸術表現が多様化した21世紀になってさえ、美術教育の教材として存続しています。
 
今回展示される他の作品も、日本美術史から拾い上げたこうした断層や不整合に光をあてます。日本人に欠かせない調味料である醤油がかつて画材として使用されていたという架空の設定のもと、過去の著名な美術作品を醤油で再現した《醤油画資料館》(1999)や、「戦争画家」として時代の流れに翻弄された藤田嗣治をモデルに、史実とフィクションが入り交じった物語を作り出した《帰って来たペインターF》(2015)などは、まさに小沢が生み出した「パラレルな美術史」と言えるでしょう。
 

今回の展覧会タイトルとして選ばれた「不完全」とは、明治時代に活躍した美術史家であり東京美術学校(現・東京藝術大学)の初代校長である岡倉天心(覚三)の著書『茶の本』に頻出する言葉です。「不完全」とは完全に対するネガティブな言葉ではなく、完全を目指す途上に立つ、限りなく豊かでやさしい意味をもちます。


 
 
本展は小沢にとって、関東で開催される久々の大規模個展となります。この機会にぜひ、そのユニークな作品世界に触れてください。
 
主催 千葉市美術館 協力 MISA SHIN GALLERY
 
写真:鈴木理策
 

小沢剛
Tsuyoshi Ozawa


 

1965年東京生まれ。東京芸術大学在学中から、風景の中に自作の地蔵を建立し、写真に収める《地蔵建立》開始。93年から牛乳箱を用いた超小型移動式ギャラリー《なすび画廊》や《相談芸術》を開始。99年には日本美術史の名作を醤油でリメイクした《醤油画資料館》を制作。2001年より女性が野菜で出来た武器を持つポートレート写真のシリーズ《ベジタブル・ウェポン》を制作。2004年に個展「同時に答えろYesとNo!」(森美術館)、09年に個展「透明ランナーは走りつづける」(広島市現代美術館)を開催。
 

https://www.ozawatsuyoshi.net/
twitter@tsuyoshiozawa

開催概要

観覧料


一般   1,200円(960円) 
大学生  700円(560円)
小・中学生、高校生無料

※( )内は前売券、団体20名以上、千葉市内在住65歳以上の方の料金
※障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料
※前売券はミュージアムショップ(12月17日まで)、およびローソンチケット(Lコード:31607)、セブンイレブン(セブンチケット)(1月5日まで、1月6日以降は当日券販売)、千葉都市モノレール「千葉みなと駅」「千葉駅」「都賀駅」「千城台駅」の窓口(1月5日まで)にて販売。

開館時間

日~木曜日 10:00~18:00
金・土曜日 10:00~20:00
※入場受付は閉館の30分前まで

休館日

2月5日(月)

関連イベント

 

■シンポジウム「石膏像の歴史、その受容と展開」

【出演】
小沢 剛(アーティスト)
金井 直(近現代彫刻史研究・信州大学人文学部教授)
荒木慎也(美術史家・多摩美術大学ほかで非常勤講師)
 
日本における石膏像受容の歴史とその後のユニークな展開について、「石膏像/石膏デッサン」をテーマとした小沢剛の新作インスタレーション制作に至る経緯も交えて議論します。 
 
【日時】2月4日(日)14:00より(13:30開場予定)
 
11階講堂にて/参加無料(要展覧会チケット)
先着150名(当日12:00より11階にて整理券配布)
 
 

金井 直 (かない・ただし)信州大学人文学部教授
1968年福岡県生まれ。1999年京都大学博士(文学)学位取得。豊田市美術館学芸員を経て、2007年より信州大学人文学部芸術コミュニケーション分野准教授。2017年より同教授。専門はイタリア美術史および近現代彫刻史。主な企画として「イメージの水位」(豊田市美術館、2004)、「アルテ・ポーヴェラ」(豊田市美術館、2005)、「消失点」(ニューデリー国立近代美術館、2007)など。編著に『女性の表象学』(ありな書房、2015)、主な共著として『彫刻の解剖学』(ありな書房、2010)、『ジョルジョ・モランディの手紙』(みすず書房、2011)、『自然の鉛筆』(赤々舎、2016)、『彫刻の問題』(トポフィル、2017)など。あいちトリエンナーレ2016キュレーター。
 
 
 

荒木慎也(あらき・しんや)成城大学、多摩美術大学、武蔵大学非常勤講師。
1977年名古屋生まれ。 東京藝術大学美術学部芸術学科卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。2013年に博士(学術)。東京大学教養学部国際ジャーナリズム寄付講座特任助教を経て、現在は成城大学、多摩美術大学、武蔵大学非常勤講師。専門は近現代美術史、美術教育学。2017年に三重大学出版会より『石膏デッサンの100年』を出版。



石膏デッサンの100年―石膏像から学ぶ美術教育史
荒木慎也 (著)
 
美大受験生たちの血と汗と涙の結晶
「石膏デッサン」とは、何だったのか?
石膏像を巡る苦闘の歴史がわかる、石膏デッサン研究の決定版!!
 
2016年に三重大学出版から刊行された「石膏デッサンの100年」のアートダイバー社刊行の改訂版。
http://artdiver.moo.jp/?p=2281

  • 単行本: 256ページ
  • ¥2,200(税別)
  • 出版社: アートダイバー (2016年三重大学出版より刊行)
  • ISBN-10: 4908122083
  • ISBN-13: 978-4908122088
  • 発売日: 2018/2/1

 


■アーティストトーク

【出演】
小沢 剛(アーティスト)
会田 誠(美術家)ほか
 
小沢剛がゲストとともにデッサンをしながら、その経験にもとづいた話を広げていきます。

【日時】 2月17日(土)15:00より(14:30開場予定)
 
11階講堂にて/参加無料(要展覧会チケット)
先着150名(当日12:00より11階にて整理券配布) 
 

 
会田 誠(あいだ・まこと)美術家
1965年新潟県生まれ。91年東京藝術大学大学院美術研究科修了。絵画、写真、映像、立体、パフォーマンス、インスタレーション、小説、漫画など表現領域は国内外多岐に渡る。近年の主な個展に「天才でごめんなさい」(森美術館、東京、2012-13年)、「ま、Still Aliveってこーゆーこと」(新潟県立近代美術館、2015)など。 東京・表参道にて18年2月10日から24日まで「会田誠展:GROUND NO PLAN」を開催予定。
twitter@ makotoaida

Photo Courtesy Mizuma Art Gallery 
 

■市民美術講座「小沢剛と日本近代美術」

【講師】
水沼啓和(当館学芸員)
 
当館学芸員による本展覧会を軸としたレクチャーを開催いたします。
 
2月10日(土)14:00より(13:30開場予定)/11階講堂にて/聴講無料/先着150名
 

ギャラリートーク

 
担当学芸員による ギャラリートーク―
1月10日(水) 14:00より

ボランティアスタッフによる ギャラリートーク―
会期中毎週水曜日(1月10日を除く)14:00より

※水曜日以外の14:00にも開催することがあります。
※会場の混雑状況により中止となる場合がございます。

主な展示作品

《不完全》 

2017年 展示風景:「東京藝術大学130周年記念 藝大茶会それゆえに」、東京藝術大学大石膏室 

《帰って来たペインターF》

2015年 森美術館蔵 
 

《醤油画資料館》

1999年 福岡アジア美術館蔵 撮影:四宮佑次
 

《金沢七不思議》 

 2008年 金沢21世紀美術館蔵 撮影:木奥惠三
 

《油絵茶屋再現》

2011年 作家蔵
 

《なすび画廊−宇治野宗輝「NEW CLUBVENUS」》

1993年 作家蔵  

アクセス

千葉市美術館
〒260-8733 千葉市中央区中央3-10-8 

http://www.ccma-net.jp/
TEL:043-221-2311
 
JR千葉駅東口より
■ 徒歩約15分
■ 京成バス(バスのりば7)より大学病院行または南矢作行にて「中央3丁目」または「大和橋」下車徒歩約3分
■ C-bus(バスのりば16)にて「中央区役所・千葉市美術館前」下車
■ 千葉都市モノレール県庁前方面行「葭川(よしかわ)公園駅」下車徒歩5分
■ JR千葉駅へは東京駅地下ホームから総武線快速千葉方面行で約42分

カタログ

 

「小沢剛 不完全—パラレルな美術史」図録販売中!

 
 
 
縦24.0×横19.1×厚1.4cm 重さ345g
発行日:2018年2月9日
価格:1,800円/仕様:B5変形判
デザイン:大岡寛典事務所


◆論考
 小沢剛と日本近代美術 /水沼啓和
 過去と現在の交差点としての大石膏室 /荒木慎也
 「不完全」に添う /金井直
◆図版
 不完全
 金沢七不思議
 す下降にンバンレパ兵神神兵パレンバンに降下す
 帰って来たペインターF

 油絵茶屋再現

 醤油画資料館

 なすび画廊

 
 
 小沢剛52歳(作家略歴)
 文献目録
 作品リスト